(37)白露に 風の吹きしく 秋の野は

百人一首37番歌

白露に
風の吹きしく
秋の野は
つらぬきとめぬ
玉ぞ散りける


後撰集」秋中308

by 文屋朝康(ふんやのあさやす)
生没年未詳
六歌仙の一人
22番歌の作者・文屋康秀の子



草葉の白露に風がしきりに吹きつける秋の野は、まるで、貫き通した緒がほどけて玉が散り乱れているようです。


ネックレスがほどけて飛び散ってしまうように、強い風に吹きつけられて白露が舞っている、秋の野の情景が浮かびます。
秋は台風も来ますし、風の強い日も多いですね。

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文屋朝康は、駿河掾(するがのじょう、判官)として赴任してから10年ほど駿河の地で仕えたそうです。
その間幾つかの歌合にも出席して歌を詠進しています。
この歌の詞書に
「延喜の御時歌合召しければ」とあるそうです。
(寛平御時后宮歌合)

朝安がいた駿河には、それから700年余りして徳川家康駿府城を築き大いに繁栄しました。