(32)山川に 風のかけたる しがらみは

百人一首32番歌

山川に
風のかけたる
しがらみは
流れもあへぬ
紅葉なりけり

古今集・秋下303
詞書「志賀の山越えにてよめる」

志賀越道=京都と滋賀の境の山道

山川=やまがわ=山中を流れる川

しがらみ=柵

by 春道列樹(はるみちのつらき)
 生年未詳~920
物部氏の末裔
36歌仙のひとり。




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山中の川に風が掛けた柵(しがらみ)は、流れようとして流れきれずにいる紅葉なのです


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山道にて、風が吹いて、紅葉が柵のように川を堰き止めている、とても美しい風景ですね。

作者は、主税頭(ちからのかみ、諸国の租税を司る役所の長官)を務めた春道新名(にいな)の子、物部氏の末裔ということですが、詳しくは不明です。

醍醐天皇の時代の人です。

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古今集詞書
「志賀の山越え」=
北白川から大津の崇福寺(すうふくじ)への参拝道
崇福寺
天智天皇勅願寺、志賀寺

物部氏の末裔が、天智天皇勅願寺への参拝道にて詠んだのでしょうか。
懐古して詠んだのでしょうか。