(31)朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに

百人一首31番歌

朝ぼらけ
有明の月と
見るまでに
吉野の里に
降れる白雪

古今集・冬332
詞書「大和国にまかれりける時に雪の降りけるを見てよめる」

「吉野の里」は大和国の枕詞


by 坂上是則(さかのうえのこれのり)
生没年未詳
坂上田村麻呂の末裔
36歌仙の一人。




夜がほのかに明けてきたころ、まるで有明の月の光に照らされているのかと思うほど白く、吉野の里に降り積もる雪よ


月の光を雪や霜に見立てるのは中国の漢詩でよく行われていた比喩です。
31番歌は、中国の詩人・李白の作った
「静夜思」(せいやし)
「牀前看月光 疑是地上霜 挙頭望山月 低頭思故郷」と同じ傾向です。



坂上是則は、蹴鞠の名人で、延喜5年(905年)宮中にて醍醐天皇の前で蹴鞠を披露し、206回も続けることができ、褒美として絹をもらったという記録が残っているそうです。


桓武天皇から征夷大将軍に任命された坂上田村麻呂の子孫の是則さん、蹴鞠206回は凄いですね、褒美が蚕からつくった絹というのも素敵ですね。


先祖の坂上田村麻呂は、780年に京都の清水寺を建立しています。
清水寺は朝廷公認の寺院となり、枕草子源氏物語、今昔物語にも記載があり、観音寺として有名ですが、現在の本堂は徳川家光により寛永10年(1633)に再建されたそうです。