(66)もろともに あはれと思へ 山ざくら

百人一首66番歌


もろともに
あはれと思へ
山ざくら
花よりほかに
知る人もなし


「金葉集」雑上521
(大峰に思ひもかけず桜の咲きたりけるを見て)

by 大僧正行尊
1055~1135
三条天皇の曾孫
小一条院敦明親王の孫
源基平の息子



もろともに慈しみ合おう山桜よ 
この奥深い山中で、花より他に私の心を知る人もいない


行尊の祖父・小一条院敦明親王は、後一条天皇の御代の皇太子でしたが、藤原道長の圧迫で辞して小一条院となられました。

小一条院の息子・参議源基平の三男が行尊です。

行尊は、10歳で父を失い、12歳で出家しました。

17歳から諸国の名山霊域を修行してまわりました。


この歌は、大峰山深山幽谷の中で厳しい修行中に、ひとり咲く桜を見つけて詠んだ歌です。


行尊は、白河天皇鳥羽天皇崇徳天皇の護持僧となり加持祈祷によって病や災難を癒し払い、
1123年に天台座主(ざす)となりました。

1125年に大僧正となり、宇治平等院を本寺としたので平等院僧正とよばれました。


和歌は勅撰集にも選ばれ、家集に「行尊大僧正集」があります。


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平等院は、1052年に、藤原頼通により仏寺に改められ平等院となりました。
翌1053年に平等院阿弥陀堂鳳凰堂)が落成しました。
現在は世界遺産に登録されています。