(82)思ひわび さても命は あるものを

百人一首82番歌

思ひわび
さても命は
あるものを
憂きに堪へぬは
涙なりけり


「千載集」恋3-817


by 道因法師
俗名藤原敦頼
1090~1182頃
83歳頃出家



恋に思い悩んで苦しいが、それでも死ぬこともなく生きているのに、辛さを堪(こら)えきれずにこぼれ落ちる、私の涙です。


この歌は若い頃の歌と言われています。

道因法師は、和歌に執着心を抱き続けた歌人として数々の逸話が遺されています。

90歳になって耳が遠くなっても歌合に出て講評を熱心に聞いていたそうです。

死後、「千載集」に多くの歌が撰ばれたのを喜び、撰者・藤原俊成の夢に出てきて涙を流して感謝しました。
俊成はあわれに思い更に2首追加したということです。