(78)淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に

百人一首78番歌

淡路島
かよふ千鳥の
鳴く声に
幾夜(いくよ)寝ざめぬ
須磨の関守(せきもり)

「金葉集」冬280
『関路の千鳥といへることを詠める』

by 源兼昌
生没年未承
宇多源氏の末裔。
1100年以降の歌合に参加。
1128年には出家していた。



淡路島と須磨を行き来する千鳥の鳴き声に、幾度目を覚ましたことでしょう、須磨の関守は。



須磨は摂津国兵庫県)の歌枕。
交通の要所で、軽い罪人の流刑地でもあり、関所が設けられていましたが、この歌の頃は関所はなかったようです。

淡路島と須磨は、明石海峡をはさんで対峙しています。

源氏物語」で光源氏がわびしい謹慎の日々を過ごした須磨。

冬の明石海峡を渡るもの悲しい千鳥の鳴き声が聞こえるような歌です。