(74)憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ

百人一首74番歌

憂かりける
人を初瀬の
山おろしよ
はげしかれとは
祈らぬものを

「千載集」恋2-707

by 源俊頼朝臣
1055~1129
宇多源氏の末裔
71番歌・源経信の3男
85番歌・俊恵法師の父



74番歌は「千載集」詞書によると、藤原定家の祖父藤原俊忠の邸で「祈れども逢わざる恋」という題で詠んだものです。


憂し=憂鬱

憂かりける人=
憂鬱にさせる人=
思ってもつれない人

初瀬=大和国の枕詞。長谷寺がある。長谷寺の観音様は恋のご利益祈願の名所。


つれないあの人が私を想ってくれるようにと、初瀬の観音に祈願したのに。初瀬の山おろしよ、お前のように激しく私につらくあたれとは祈ってないのに。



源俊頼は、和歌や雅楽を得意とし、堀河天皇の楽団員であり堀河院歌壇のひとりです。
のちに白河天皇の命で「金葉集」を編纂しました。