(64)朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに

百人一首64番歌

朝ぼらけ
宇治の川霧
絶えだえに
あらはれ渡る
瀬々の網代


「千載集」冬419

by 権中納言定頼(さだより)
995~1045
公任(55番歌)の長男


夜明け方、立ちこめていた宇治川の霧がとぎれて、霧のたえまたえまに現れる、川瀬の網代木よ。


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宇治は平安時代には貴族の別荘が多く、「源氏物語」宇治十帖を思わせる風景が浮かぶ美しい叙景詩です。

宇治川のほとりは、冬の明け方は今でもこの歌のように霧がたちこめる事があるそうです。


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父の公任は
紫式部日記」に登場し「このへんに若紫はいませんか」と言い(いる訳ないじゃないの)と思われ、

定頼は
小式部内侍(60番歌)をからかって「お母さんから代作はまだきませんか」と言い「大江山 生野の道の遠ければ まだふみも見ず天の橋立」と切り返された軽々しい貴公子。

親に似て冗談好きな、孝行息子だったようです。

定頼は、58番歌大弐三位、65番歌相模とも親しい仲でした。

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定家は定頼の歌を高く評価していたようで「権中納言定頼集」を自筆で書いて遺しているそうです。

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