(21)今来むと 言ひしばかりに長月の

百人一首21番歌

今来むと
言ひしばかりに
長月(ながつき)の
有明(ありあけ)の月を
待ち出でつるかな

古今集、巻14・恋歌4・691

by 素性法師(そせいほうし)
平安前期、生没年未詳
12番歌「天つ風・・」の作者・遍昭の子
桓武天皇の曾孫



今すぐに行きますよ、と貴方がおっしゃったばかりに、長月(陰暦9月)の長夜を待ち続け、とうとう有明の月に出会ってしまいました。

有明の月=
夜遅くに昇ってきて、明け方の空に残っている月。



素性法師は、父の遍昭と共に雲林院に住み、宮廷に近い僧侶として和歌の道で活躍しました。
百人一首12番歌に「雲林院」について書きました。)
後に、大和国石上(奈良県天理市)の良因院の住持となりました。
広大だった良因院の跡地には、今は小さな神社(厳島神社)があるそうです。

宇多天皇の歌会にしばしば招かれ歌を詠んだそうです。

36歌仙のひとりで、古今集に36首など、勅撰和歌集に約60首入集しています。