(19)難波潟 短き葦のふしの間も

百人一首19番歌

難波潟(なにはがた)
短き葦の
ふしの間も
逢はでこのよを
過ぐしてよとや

by 伊勢
870頃~939頃


難波潟に生えている葦の節と節の間のようなほんの僅かな時間でさえ逢わないまま、一生過ごせとあなたは言うのでしょうか。

作者・伊勢

🍀伊勢守(いせのかみ)藤原継蔭(つぐかげ)の娘。
🍀藤原北家の系統

🍀宇多天皇中宮・藤原温子(おんし)に仕える。

🍀宇多天皇の皇子を生み、伊勢御息所(みやすどころ)となる。皇子は早世。

🍀宇多天皇の出家後、宇多天皇の皇子敦慶(あつよし)親王との間に中務(なかつかさ)を産む。伊勢と中務は母娘。

🍀36歌仙の一人

🍀勅撰集に200首近く入集

🍀歌集「伊勢集」がある(冒頭は歌日記的で伊勢日記とよばれます)

🍀今昔物語集(巻24)に登場している

今昔物語集に、
伊勢は、何につけても奥ゆかしく風情があり、素晴らしいお方で、和歌については凡河内躬恒紀貫之に劣らないほどである、と書かれています。

沢山の歌を詠んだ美しい才女だったようですね。


難波潟=大阪湾の入り江のあたりの遠浅の海の干潟。