(27)みかの原 わきて流るるいづみ川

百人一首27番歌みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見きとてか 恋しかるらん新古今集・恋1996by 中納言兼輔(藤原兼輔) 877~933 36歌仙のひとり 紫式部の曾祖父(祖父の父) 藤原北家 瓶原(みかの原)を分けて湧いて流れる泉川、その川の名のように「いつみ」た…

(26)小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば

百人一首26番歌小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ拾遺集・雑秋・1128by 貞信公=藤原忠平 880~949 藤原道長の曾祖父 小倉山の峰のもみじ葉、もし心があるならば、もう一度天皇がおいでになるその日まで、どうか美しいまま散らない…

(25)名にし負はば 逢坂山の さねかずら

百人一首25番歌名にし負はば 逢坂山のさねかずら 人に知られで くるよしもがな後撰集・恋3・700by 三条右大臣=藤原定方 873~932 紫式部の曾祖父(祖母の父) 醍醐天皇の外叔父 「逢坂山のさねかずら」(逢って寝る)という名にあやかって、葛(かづら)のつるを…

(24)このたびは 幣もとりあえず手向山

百人一首24番歌このたびは 幣(ぬさ)も取りあえず 手向山(たむけやま) 紅葉の錦 神のまにまに古今集・巻9・羈旅(きりょ)420by 菅家(かんけ)=菅原道真 845~903 この度は、急な旅で幣の準備もできませんでした。この錦のように美しい紅葉を幣として旅の安全を…

(23)月見れば 千々に物こそ悲しけれ

百人一首23番歌 月見れば 千々に 物こそ 悲しけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど「古今集」巻4・秋歌上193 by 大江千里(おおえのちさと) 生没年不詳 宇多天皇の時代の人。 在原業平、行平の甥という説があります。 伊予国(愛媛県)の権守(ごんのかみ)…

(22)吹くからに 秋の草木のしをるれば

百人一首22番歌吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を 嵐といふらむ古今集 巻5・秋歌下249by 文屋康秀(ふんやのやすひで) 6歌仙のひとり 37番歌の文屋朝康の父 吹くと同時に秋の草木も萎れ(しおれ)てしまう、なるほど、それで山から吹く風を荒らし…

(21)今来むと 言ひしばかりに長月の

百人一首21番歌今来むと 言ひしばかりに 長月(ながつき)の 有明(ありあけ)の月を 待ち出でつるかな古今集、巻14・恋歌4・691by 素性法師(そせいほうし) 平安前期、生没年未詳 12番歌「天つ風・・」の作者・遍昭の子 桓武天皇の曾孫 今すぐに行きますよ、と貴…

(20)わびぬれば 今はた同じ難波なる

百人一首20番歌わびぬれば 今はた同じ 難波(なには)なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ「後撰集」恋・961by 元良(もとよし)親王 陽成天皇の第1皇子 (890~943) 「後撰集」の詞書によると、 宇多天皇(上皇、または法皇)の女御「京極御息所(みやすどころ)」との…

(19)難波潟 短き葦のふしの間も

百人一首19番歌難波潟(なにはがた) 短き葦の ふしの間も 逢はでこのよを 過ぐしてよとやby 伊勢 870頃~939頃 難波潟に生えている葦の節と節の間のようなほんの僅かな時間でさえ逢わないまま、一生過ごせとあなたは言うのでしょうか。作者・伊勢伊勢守(い…

(18)住の江の 岸による波よるさへや

百人一首18番歌住の江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ 「古今集・恋2・559」by 藤原敏行朝臣 (ふじわらのとしゆきあそん) 生年未詳~901(?) 住の江の岸によせる波のように、昼だけでなく夜までも。あなたは夜の夢の中の通い路でさえ人目を…

(17)ちはやぶる 神代も聞かず龍田川

百人一首17番歌ちはやぶる 神代(かみよ)も聞かず 龍田川 からくれなるに 水くくるとは 「古今集 秋下・294」by 在原業平朝臣 (ありわらのなりひらあそん) 818~893 16番歌の作者・行平の弟 平城天皇の孫 神代の頃でさえ聞いたことが無い。 龍田川が紅葉に…

(16)たち別れ いなばの山の峰に生ふる

百人一首16番歌立ち別れ いなばの山の峰に生(お)ふる まつとし聞かば 今帰り来むby 中納言行平 (在原行平 ありわらのゆきひら) 818~893 平城天皇(へいぜいてんのう)の孫 在原業平の兄お別れですが、 因幡山の峰に生えている松のように、あなたが私の帰…

(15)君がため 春の野に出でて 若菜つむ

百人一首15番歌君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつby 光孝天皇 830~887(在位884~887) 平安前期第58代天皇 仁明天皇の第3皇子 先代は、百人一首13番歌の陽成天皇です。 (13)でも書きましたが、 清和天皇の第1皇子の陽成天皇は(…

(14)陸奥の しのぶもぢずり たれゆえに

百人一首14番歌陸奥の(みちのくの) しのぶもぢずり たれゆえに 乱れそめにし 我ならなくにby 河原左大臣(かわらのさだいじん) 嵯峨天皇の12番目の皇子 源融(みなもとのとおる) 822~895 平安時代初期源融は、「源氏物語」の主人公「光源氏」のモデルの有力…

(13)筑波嶺の 峰より落つる みなの川

百人一首13番歌筑波嶺の(つくばねの) 峰より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬるby 陽成院 第57代天皇(在位876~884) 868~949 峰=山頂 淵=水がよどんで深い所筑波山の山頂から流れ始める みなの川が、 最初は細い流れからやがて深い淵になるよ…

(12)天つ風 雲の通い路 吹き閉じよ

百人一首12番歌は、桓武天皇の孫・良岑宗貞(のちの僧正遍昭)が若き官人時代に新嘗祭のときの舞をみて詠んだ歌だそうです。 百人一首12番歌天つ風 雲の通い路 吹き閉じよ をとめの姿 しばしとどめぬby 僧正遍昭 そうじょうへんじょう 816~890 桓武天皇の孫…

(11)わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと

百人一首11番歌わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣舟わたのはら やそしまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりぶねby 参議 篁 さんぎ たかむら=小野篁 (802~852年) わたの原=広い海 八十島=沢山の島々 海人=漁師(…

(10)これやこの 行くも帰るも 別れては

百人一首10番歌これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関 by 蝉丸(せみまる) 詳細不明 平安時代前期の人百人一首8~39番=平安時代前期の歌 これがあの、 京から東国へと旅立つ人も それを見送って京へ帰る人も ここで別れ、 知ってる人…

(9)花の色は うつりにけりな いたづらに

百人一首九番歌花の色はうつりにけりな いたづらに わが身 世にふる ながめせしまに小野小町 生没年不詳(800年代前期~中期)仁明・文徳(もんとく)朝に活躍したともいわれます。 美人さんを〇〇小町と言ったりしますので、美しい人だったのでしょうね。「…

(8)わが庵は 都のたつみ しかぞ住む

百人一首8番歌 わが庵は 都のたつみ しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなりby 喜撰法師 (生没年不明、平安初期頃) 都の辰巳=宇治しかぞ=そのように私の庵は、都の東南にあり、ここでこの様に心安らかに暮らしています。 世間の人々は、この世を憂いて宇…

(7)天の原 ふりさけ見れば 春日なる

百人一首7番歌天の原(あまのはら) ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし(いでし) 月かもby 阿部仲麻呂(仲麿) あべのなかまろ (698~770)奈良時代の貴族。717年に留学生として遣唐使に同行して唐に渡りました。唐の皇帝・玄宗に仕え、李白や王維…

番外メモ 聖武天皇の時代

番外メモ 聖武天皇の時代 聖武天皇=第45代天皇 701~756年 在位724~749年父は文武天皇 母は宮子(藤原不比等の娘、または養女) 724年(24歳)首(おびと)王子が即位し、聖武天皇となりました。729年に起きた「長屋王の変」により長屋王が自害すると、藤原…

(6)かささぎの 渡せる橋に置く霜の

百人一首6番歌 かささぎの 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞふけにけるby 大伴家持 718?~785 おおとものやかもち、中納言やかもち 家持(やかもち)は、大伴旅人(たびと)の息子。 旅人の妻亡き後、異母妹の坂上郎女(さかのうえのいらつめ)が家持の養…

(5)奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の

百人一首5番歌奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋は悲しきby 猿丸大夫 さるまるのたいふ、さるまるだゆう生没年不明、実体不明 奥山に、敷きつめられたもみじ、愛する者を思って鳴く鹿、とても淋しい情景が浮かんで悲しくなります。この歌は、「古…

(4)田子の浦に うちい出て見れば 白妙の

百人一首四番歌田子の浦に うちい出て見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつby 山部赤人(山辺、やまべのあかひと) 生没年不詳 奈良時代の歌人 万葉集に、聖武天皇の行幸に随行した際の長歌が多く収められているそうです。後の平安時代に藤原公任の「三十…

(3)あしびきの 山鳥の尾のしだり尾の

百人一首三番歌あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜(よ)をひとりかも寝むby 柿本人麻呂 この歌は柿本人麻呂の作ではないといわれますが、百人一首では人麻呂(人丸、人麿、どれも同じ人)作となってます。 「あしびきの」は、山にかかる枕詞で意…

天の香具山

「天の香具山」万葉集には、沢山、天の香具山がでてくるそうです。その中のいくつかですφ(._.)メモメモ 舒明(じょめい)天皇 (天智天皇や天武天皇の父) の、長歌大和には 群山(むらやま)あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 煙立ち…

(2)春過ぎて 夏来にけらし白妙の

百人一首二番歌春過ぎて 夏来にけらし 白妙の(しろたえの) 衣ほすてふ 天の香具山(あまのかぐやま)by 持統天皇 持統天皇は、百人一首1番歌の作者天智天皇の第二皇女です。 645年生まれ 702年没 在位は 690~697年夫は 天武天皇。 天武天皇は 伊勢神宮の…

(1)秋の田の刈り穂の庵の苫をあらみ

『百人一首一番歌』秋の田の 仮庵(かりほ)の庵の苫(とま)をあらみ わが衣手(ころもで)は露にぬれつつ 天智天皇(てんぢてんのう)作 (作者は天智天皇ではないとも言われます。)秋の田に、急ごしらえで作った小屋は、苫(とま=草を編んだもの)の編…