(50)君がため 惜しからざりし 命さへ

百人一首50番歌君がため 惜しからざりし 命さえ 長くもがなと 思ひけるかな「後拾遺集」2-恋669 詞書(女のもとより帰りてつかはしける)by 藤原義孝 954~974 45番歌作者藤原伊尹の息子 藤原行成の父 貴方のためなら惜しくないと思っていた命ですが、今は貴方…

(49)みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃え

百人一首49番歌 御垣守(みかきもり) 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ 物をこそ思へ 「詞花集」7-225by 大中臣能宣(よしのぶ)朝臣 921~991 梨壺の5人の1人 36歌仙の1人 伊勢神宮の祭主宮中の門を守る衛士が焚く火が、夜は燃え昼は消えているように、恋の…

(48)風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ

百人一首48番歌風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけて物を 思ふころかな 「詞花集」(しかしゅう)7-恋211by 源 重之(みなもとのしげゆき) 生没年不詳(~1000頃) 清和天皇の曽孫 36歌仙の1人 強い風に吹かれた波がうちつけた岩はもとのまま、波だけが砕…

(47)八重葎 しげれる宿の さびしきに

百人一首47番歌八重葎(むぐら) しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり 「拾遺集」秋140by 恵慶法師(えぎょうほうし) 生没年不詳、出自不詳 葎が幾重にもなって繁っている淋しい家に人は訪ねて来ないけれど、季節が移り秋は訪れてきたのですね。…

(46)由良の門を 渡る舟人 梶を絶え

百人一首46番歌由良の門(と)を 渡る舟人 梶を絶え 行方も知らぬ 恋の道かな 「新古今集」恋1-1071by 曽祢好忠(そねのよしただ) 生没年不詳(または、923~1003) 曽丹(そたん、丹後の判官だったから) 由良の瀬戸を渡る船人が梶をなくして、あてどなく漂っ…

藤原氏系図 百人一首後半

後半の百人一首は、藤原冬嗣の北家から、沢山選出されています。 1sheetに書くために、良房からは縦書き、良門からは横書きになりました。 数字は百人一首の番号です。スマホでは見ずらいですが・・

藤原氏系図 百人一首

鎌足 │ 不比等 │ ┬────┬───────┬──────┬ 麻呂 宇合 房前 武智麻呂 (京家) (式家) (北家) (南家) ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ 仲成(薬子の変) ∨ 敏行=18番歌 ∨ 興風=34番歌 房前 │ ┬────┬─────┬─────┬───── 永手 真楯 魚名 楓麻呂 │ │ 内麻呂 藤成 │ │ 冬嗣 秀郷 ∨ (奥州…

(45)あはれとも 言ふべき人は 思ほえで

百人一首45番歌あはれとも 言ふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな「拾遺集」恋5-950by 謙徳公 藤原伊尹(これまさ、これただ)の諡 924~972 26番歌・藤原忠平の孫 50番歌・藤原義孝の父哀れだと言ってくれる人は誰一人として思い浮かばず、我…

(44)逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに

百人一首44番歌逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし「拾遺集」恋1-679by 中納言朝忠(藤原朝忠) 910~966 36歌仙のひとり 25番歌作者・三条右大臣(藤原定方)の5男 土御門(つちみかど)中納言 逢うことが全くなかったなら、かえっ…

番外メモ 冷泉家

番外メモ 冷泉家百人一首の選者、藤原定家の子孫は、今は上冷泉家と下冷泉家に継がれています。冷泉家は、歌道宗匠家として 冷泉流歌道や宮廷生活の伝統的諸行事を今も伝承しています。 1981年(昭和56年) 上冷泉家の冷泉布美子さん(1916~2011)(上冷泉…

(43)逢ひ見ての 後の心に くらぶれば

百人一首43番歌逢ひ見ての 後(のち)の心に くらぶれば 昔は物を 思はざりけり「拾遺集」恋2-710by 権中納言敦忠(藤原敦忠) 906~943 左大臣藤原時平の三男 母は在原業平の孫 36歌仙の一人 お逢いして契りを結んだ後のこの恋しい心に比べれば、契りを結ぶ前…

(42)契りきな かたみに袖を 絞りつつ

百人一首42番歌契(ちぎ)りきな かたみに袖を 絞りつつ 末の松山 浪(なみ)越さじとは「後拾遺集」恋4-770by 清原元輔 908~990 清少納言の父 36番歌・深養父(ふかやぶ)の孫 36歌仙の一人 「後撰集」撰者の一人 約束しましたよね、涙に濡れた袖を絞り合いながら、…

(41)恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり

百人一首41番歌恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか「拾遺集」恋1-621by 壬生忠見(みぶのただみ) 生没年不詳 30番歌・壬生忠岑の子恋してるという私の噂は、早くも世間に立ってしまいました。人に知られないようにひそかに思い始…

番外メモ 天徳内裏歌合

番外メモ 天徳内裏歌合 (てんとくだいりうたあわせ)= 天暦御時歌合 (てんりゃくおんときうたあわせ)右チーム、左チームに分かれて、歌を詠む方人(かたうど)、自分方の歌を褒めたり相手方の歌を批判したりする念人など、一首ごとに勝負をする歌合。960…

(40)忍ぶれど 色に出でにけり 我が恋は

百人一首40番歌 忍ぶれど 色に出(い)でにけり 我が恋は 物や思ふと 人の問ふまで「拾遺集」恋-622by 平 兼盛 生年未詳~990年 光孝平氏 光孝天皇の曾孫(または玄孫) 駿河守(するがのかみ) 36歌仙の一人 心に秘めて忍んできたけれど、とうとう顔色に出てしま…

(39)浅茅生の 小野の篠原 忍ぶれど

百人一首39番歌 浅茅生(あさぢふ)の 小野の篠原 忍ぶれど あまりてなどか 人の恋しき「後撰集」巻9・恋577by 参議等(源等、みなもとのひとし) 880~951 嵯峨天皇の曾孫。 嵯峨源氏浅茅(あさぢ、あさじ)=チガヤ、草の名前 小野=野原 篠=細かい竹浅茅生…

番外メモ 百人一首の大輔

或る日、縁あって、蓮の台(はちすのうてな)を検索したら、和歌がヒットしました。 暁の はちすのうてな いろいろに しみまさるなる 糸たけの声作者は、「大輔」のようです。 ・・百人一首38番歌の作者・右近が仕えた穏子皇后の息子(保明親王)の恋人も大輔…

(38)忘らるる 身をば思はず 誓いてし

百人一首38番歌忘らるる 身をば思はず 誓ひてし 人の命の 惜しくもあるかな 「拾遺集」巻14・恋4・870by 右近 生没年未詳 右近少将季縄(すえなわ)の娘 忘れられる私の身のことは何とも思いません。忘れないと神に誓ったのに誓いを破った罰を受けて奪われてし…

(37)白露に 風の吹きしく 秋の野は

百人一首37番歌白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける 「後撰集」秋中308by 文屋朝康(ふんやのあさやす) 生没年未詳 六歌仙の一人 22番歌の作者・文屋康秀の子 草葉の白露に風がしきりに吹きつける秋の野は、まるで、貫き通した緒がほど…

(36)夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを

百人一首36番歌夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ 古今集巻3・夏・166 by 清原深養父(きよはらのふかやぶ) 生没年未詳 42番歌人・清原元輔の祖父 62番歌人・清少納言の曾祖父 古今集の詞書 「月のおもしろかりける夜、あかつきがた…

(35)人はいさ 心も知らず 古里は

百人一首35番歌人はいさ 心も知らず 古里は 花ぞ昔の 香ににほひける 古今集・春上42by 紀貫之 868頃~945 36歌仙の一人 古今集撰者の一人 古今集仮名序を書いた人 「土佐日記」の著者人の心はさあどうでしょうね、判りません。けれど昔なじみのこの里では、梅…

番外メモ 能「高砂」と和歌

「高砂」は、 室町時代の 世阿弥の能「高砂や~・・」が有名です。 能「高砂」は、古くは「相生(あいおい)」や「相生松」と呼ばれたそうです。 世阿弥は、 「古今集」仮名序にある一節「高砂、住の江の松も、相生のように覚え」を題材として「高砂」を作り出したそうで…

(34)誰をかも 知る人にせむ 高砂の

百人一首34番歌誰をかも 知る人にせむ 高砂(たかさご)の 松も昔の 友ならなくに古今集・巻17・雑上909by 藤原興風(おきかぜ) 生没年不詳 36歌仙の一人 いったい誰を親しい友としたらよいのだろうか。高砂の松でさえ、昔からの友ではないのに。 (年老いて…

(33)久方の光のどけき春の日に

百人一首33番歌久方の 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ古今集・春下84久方の=天空に関する語の枕詞 しづ心=静かで落ち着いた心 のどかな春の陽がさす日に どうしてこうも心あわただしく桜は散っているのだろう 百人一首の中で 6つある桜の歌…

(32)山川に 風のかけたる しがらみは

百人一首32番歌山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり古今集・秋下303 詞書「志賀の山越えにてよめる」志賀越道=京都と滋賀の境の山道山川=やまがわ=山中を流れる川しがらみ=柵by 春道列樹(はるみちのつらき) 生年未詳~920 物部氏…

(31)朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに

百人一首31番歌朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪古今集・冬332 詞書「大和国にまかれりける時に雪の降りけるを見てよめる」「吉野の里」は大和国の枕詞 by 坂上是則(さかのうえのこれのり) 生没年未詳 坂上田村麻呂の末裔 36歌仙の一人。…

(30)有明の つれなく見えし 別れより

百人一首30番歌有明の つれなく見えし 別れより 暁(あかつき)ばかり 憂きものはなし古今集・恋歌3・625by 壬生忠岑(みぶのただみね) 生没年未詳 41番歌の作者・壬生忠見の父 有明の月がそっけない顔をして出ている時に冷たくされて別れて以来、暁ほど辛く…

(29)心あてに 折らばや折らむ 初霜の

百人一首29番歌心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどわせる 白菊の花 古今集・秋下277by 凡河内躬恒 (おおしこうちのみつね) 生没年未詳 「古今集」の選者4人の中の一人 36歌仙の一人 あてずっぽうに、もし折るならば折ってみようか。 初霜が降りた中、…

(28)山里は 冬ぞ寂しさ まさりける

百人一首28番歌山里は 冬ぞ寂しさ まさりける 人目も草も 枯れぬと思へば古今集・巻6・冬315by 源宗于(みなもとのむねゆき) 生年未詳~939 光孝天皇の孫 父・是忠親王により臣籍降下 36歌仙の一人源宗于は、天皇の孫でありながら、官位に恵まれず正四位下…

(27)みかの原 わきて流るるいづみ川

百人一首27番歌みかの原 わきて流るる いづみ川 いつ見きとてか 恋しかるらん新古今集・恋1996by 中納言兼輔(藤原兼輔) 877~933 36歌仙のひとり 紫式部の曾祖父(祖父の父) 藤原北家 瓶原(みかの原)を分けて湧いて流れる泉川、その川の名のように「いつみ」た…